眠れないわたしの夢十夜 第一夜

こんな夢を見た。

 

 

古びた客船での海外旅行。

いろいろな国の人が乗り合わせている。

どこに行くのかは、わからない。

 

私はふたりの息子と一緒に、

船内にある水族館に行く。

水族館には、超巨大化した

さまざまな生きものが展示されている。

 

カニ、サメ、ウツボ

すべての生き物が

信じられないほど、大きい。

 

館内は暗く、

巨大化した生き物が、

身体をテラテラ光らせながら

ギロリとこちらをにらむ。

 

ウツボがせま苦しい水槽をつき破り、

今にも私たちを襲おうとしている。

 

あ、巨大タコの水槽が破壊された。

逃げろ。

巨大タコは

巨大な吸盤のついた手を伸ばしながら、

ものすごいスピードで追いかけてくる。

 

急いで客室に逃げ込み、

ドアを閉めようとする。

巨大タコの触手は

わずかな隙間から入り込み、

私たちに巻きつこうと

必死の様相で伸びてくる。

 

もうだめだ……。

 

 

その瞬間、船に大きな衝撃がはしる。

 

「何かにぶつかった!」

「浸水し始めている!早く修理しろ!」

 

乗員たちが慌ただしく走り回る船内。

不安そうな顔で、なすすべもなく立ちつくす乗客たち。

巨大タコはどこかに行ってしまった。

 

船内アナウンスが聞こえてきた。

 

「穴の開いたところにはガムテープをはりました。問題はないので、このまま航海を続けます。もうすぐ港に止まってトイレ休憩です。港の売店にはコーラも売っています。乗り遅れないように急いでトイレに行きましょう。」

 

港に着き、息子たちをトイレに向かわせる。

「あとでコーラ買ってって言われるだろうなぁ」と思いながら、ひとり待つ私。

周りに知っている人は誰もいない。

 

 

古びた船にふたたび乗りこむ。

壊れた船。

航海は続いていく。

 

 

……不安しかない。