白バラとブラックドレスとジャネール・モネイ:第60回グラミー賞授賞式  

アカデミー賞やらトニー賞やらグラミー賞やらの

授賞式を見るのがとても好きです。

 

私は音楽通でも映画通でもないので、

誰が賞を取るかということには大して興味がありません。

授賞式の何が好きなのかというと、

授賞式ならではの豪華なパフォーマンスと

賞のプレゼンターや受賞者のスピーチを聞くのが

大好きなのです。

 

今朝、ふとテレビをつけるとグラミー賞の授賞式が放送されていました。

 

先日のゴールデングローブ賞の授賞式では多くの参列者が

性暴力や性差別、人種差別に抗議し、

黒いドレスで参加したことが大きな話題となりましたが、

今回のグラミー賞の授賞式でも、ほとんどの参加者が黒い衣装を着ていました。

中には白いバラを胸に差している人も。

この白バラは「ジェンダー平等」への支持を表明するものだそうです。
今回のグラミー賞は「黒」だけではなく、「白」が大きな意味を持っていました。

 

 

headlines.yahoo.co.jp

 

www.cinemacafe.net

 

Kendrick Lamar、LADY GAGASTINGU2、Rhianna、Bruno Marsなどなど

素敵なステージがたくさんありましたが、

中でも感動的だったのがPINKのパフォーマンスとKeshaのパフォーマンスです。

PINK姐さんといえば、先日のアメリカンミュージックアワードで

高層ビルから宙吊りになって歌うという謎パフォーマンスが話題となり、

今回は「一体何をしでかすんだ??」と注目されていたようですが、

何と白いトップスにジーンズ、裸足というシンプル衣装で

"Wild Hearts Can't Be Broken"を熱唱。

ステージにはPINKと1人の手話通訳の女性(同じく白トップスにジーンズ)のみ。

白い衣装で「絶対に屈しない、自由を勝ち取る」とパワフルに歌い上げる
PINKの姿は、本当に感動的でした。
www.billboard.com

 

そして今回のグラミー賞のハイライトとも言えるのが

ジャネール・モネイのスピーチとKeshaのパフォーマンスです。
早速メディアに大きく取り上げられています。

www.nytimes.com

 

ジャネール・モネイ、どこかで見たことあると思ったら

映画「ドリーム」に出てた女優さんですね。

もう、衣装もヘアメイクもかっこよすぎるし(特に下まぶたのグリーンのアイシャドウ。グリーンは19世紀の女性参政権運動のテーマカラーです)、何よりもスピーチが力強くて。


まだどこにも和訳が出ていないみたいなので、拙い英語力ながら

ちょっと訳してみました。ざっくり。

 

「今日、いちアーティストとしてではなく、

1人の若い女性として、この音楽業界を作り上げてきた同じ女性たちとともに

この場に立てたことを誇りに思います。

アーティスト、作詞家・作曲家、アシスタント、広報、CEO、

プロデューサー、エンジニア、そのほかいろいろな立場で

ビジネスに関わっている女性たち。
私たちは、それぞれ誰かの娘であり、妻であり、母であり、姉・妹であり

人間です。
私たちは争うつもりはありません。でも本気で成し遂げたいことがあるのです。

立ち上がる私たちを黙らせようとする人たちに伝えたい。

『Time's Up(時間切れ)』だと。

不平等な報酬はもう終わり。

差別も、どんな嫌がらせも、権力の濫用も。
問題はハリウッドだけで起こっているのでも
ワシントンだけで起こっているのでもありません。

まさにここ、私たちの業界でも起こっているのです。
私たちは文化を作り上げる力を持っています。
それと同時に、悪しき文化をぶち壊す力も持っています。

 

だから、男性女性関係なく、音楽業界一体となって

安心して働ける労働環境、女性に対する平等な報酬と機会にコミット

しましょう。

多くのアーティストと同じく、次のパフォーマーも、

音楽に強い社会的メッセージを込めています。

恐れを知らない、2度のグラミー受賞者でもある彼女は、

私を含め多くのミュージシャンにインスピレーションを与えました。
彼女は、今夜ベストボップボーカル賞を受賞したアルバム「Rainbow」で

真実を語っています。


今夜、Cyndi Lauper、Camilla Cabello、Andra Day、Bebe Rexha、Julia MichaelsそしてResistance Revival Chorus とともに”Praying”を歌います。
あなたとともに立ち上がることを誇りに思います。

Kesha!!」


上のリンクではKeshaのパフォーマンスも動画で見ることができます。
舞台上の全員が真っ白な衣装。
渾身の力を込めて歌い上げたKeshaも最後は涙……。
司会のジェームズ・コーデンも泣いてました。

全然知らなかったのですが、Kesha自身もプロデューサーに10年間も肉体的・精神的虐待を受けていたんですね。しかもレコード会社との契約解除の裁判を起こすも、訴えを退けられたことから多くのアーティストが彼女を支援しているようです。

テイラーがケシャに2900万円寄付。ガガ、アリアナ、ロードなど”セクハラ”プロデューサー裁判判決を受けてケシャ支援|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)


海外エンタメ業界の授賞式を見るたび、

アーティストや俳優さんたちのスピーチやパフォーマンスに

強い社会的メッセージが込められていることに

驚きと感動をおぼえます。


アメリカすごい、日本しょぼいというつもりはないのですが、
日本のエンタメ業界の表舞台ってちょっとものが言えなすぎじゃないですか?
もの言う人は業界からキックアウトされてしまうのかな……。

 

感動もりだくさんのグラミー賞授賞式でした。

そのうちWOWOWで字幕版を放送すると思うので、録画しなくては。