子どものクリティカル・シンキング(批判的思考)力をどうやって育てるか。

毎朝、息子たちの教科書の音読を聞いていると、
国語の教科書ってなかなか面白いなと思います。

(宿題なんだからその日の朝ではなく、

前の日に読んで!!という気はしますが……)


先日小5の息子が読んでいたのが

「想像力のスイッチを入れよう」

という説明文。

 

www.mitsumura-tosho.co.jp

メディアのいうことを鵜呑みにしてはいけないよ。
伝えられた情報が、事実のすべてだとは限らない。

頭の中で「想像力のスイッチ」を入れて、

伝えられていることの外側に何があるのかを考えることが大切だよ。


というお話です。


情報溢れる(しかも嘘もだいぶ混ざってる)この時代を生きる

子どもたちにとって、

いや、大人たちにとっても、

情報を読み取る力は必要不可欠!

先生、ここはぜひ気合を入れて授業してほしい!!

と音読を聞きながら切に思ったのでした。

 

で、

以前にこんな本を読んだのを思い出しました。

でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相 (新潮文庫)

でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相 (新潮文庫)

 

 

2003年、福岡市の教育委員会が、

教師による子どもへの「いじめ」事件を認定。


両親の訴えによると、

とある教師が自分の子どもへの体罰を繰り返し、

しまいには「死ね」と自殺を強要。

子どもはPTSDで入院する羽目になった、

とのこと。

 

学校も教育委員会も、児童側の言い分を認めて謝罪。

教師は停職という重い処分を受けることになりました。

 

事件が発覚してから、

メディアはセンセーショナルな報道で教師を批判。

この教師は職を失った上に、世間から「殺人教師」呼ばわりされることとなりました。

 

・・・しかし。

実はこの事件、まったくの冤罪だったんですよね。

両親は強烈なクレーマー

児童に対する教師の体罰や言葉によるいじめは、事実無根であることが証明され、

事件から10年後の2013年に、教師への処分はすべて取り消されました。



でも、時すでに遅しですよね。

失った時間は取り返すことはできません。

 

この事件についての記憶はないのですが、

やいのやいの言って、人を傷つけたメディアは

どう落とし前をつけたんだろうか。

でもきっと言いっぱなしだったのでしょう。

 

いろんなことがネットで炎上する今日この頃ですが、

自分の目で見て、体験しない限り、何が本当で何が嘘かはわからない。

メディアはどうあれ、せめて自分だけは

大多数の意見に乗っかるのではなく、ちょっと違った角度から物事を見て、

自分なりの意見を持てるようになりたい……。

 

自分の子どもにも、

なんの考えもなしにメディアや人の噂話に乗っかって

誰かを批判したり、物事を判断したりするような人には

なってほしくない……。

 

改めてそんな風に思いました。

 

 

 


物事にはいろいろな側面があるんだよ。

みんなが言っているからといって、それが正しいとは限らないんだよ。

そんな感覚を持って物事を見る力って、どうしたら養えるんだろう

と思っていたところ、

偶然見つけたハーバード教育大学院のPodcast

参考になる話を聞くことができました。

www.gse.harvard.edu
どうやってクリティカル・シンキングの力を育てるか、というお話です。
ゲストで登場していたジョージタウン大学の教授(の話を私の限られた英語力でざっくり解釈したところ)によると、

 

クリティカル・シンキングとは簡単に言うと

「探偵のように読み、事件記者(調査報道をする記者)のように書け」

ということだそうです。

 

なるほど。


で、クリティカル・シンキングで大事な要素は

・他人の意見の弱点をつくことができる能力

・自分の意見を裏付ける、正しい根拠(証拠)を得ようとする力

・自分自身の見解や価値観、信念をしっかりと伝えられる力

の3つだということ。

む、難しい……。

  

まあでも、こういうことが大切なんだと知っているだけでも

全然違うのではないでしょうか。

 

Podcastの内容は、教育現場でどんな風にクリティカル・シンキングの力を育てていくかということがメインだったのですが、最後にこんな会話がありました。

 

インタビュアー:”教育現場以外の日常生活でクリティカル・シンキングの力を高めていくにはどうしたらいいのでしょうか。例えば夕食など家族団欒の時間で、親が子どものためにできることはありますか?”

 

教授:”子どものクリティカル・シンキングの力を育てるために親ができることは、

子どものどんな意見にも寛容でいるということです。

教育現場でクリティカル・シンキングを育てるうえでは、教師が生徒に敬意を持って接し、意見を尊重することがとても大切です。同じように、親も子どもに対して敬意を持って接すること、どんな意見も広い心で受け止めることが重要です。

これによって、子どものなかに、『自分自身の頭で考えよう』という気持ちが生まれ、関心のあることに対して自分なりの意見を持てるようになり、場を不快なものにすることなく反対意見を言えるようになるのです。”

 

 

 炎上事件を見ていると、バンバン火をくべる人たちがいる一方で、ふと全然違う角度から意見を出す人がいるんですよね。

賛同するしないは別として、こういう姿勢って大事だよな、と思います。

 

 

 日本人って先進国の中で、メディアの鵜呑み度が抜群に高いそうですよ。

一番低いのがイギリス人だって。

でも、この話だって本当か嘘かわかりません。

信頼できる証拠を探すことができませんでした。

誰か見つけたら教えてください。