日大アメフト部会見から考える、子ども同士の人間関係におけるリスク管理
日大アメフト部幹部・日大幹部の動きから目が離せません。
昨日の内田氏と井上氏の緊急会見もずっと見ていましたが、
ここまで来ても、彼らは問題の本質が何なのかをまったく理解していないんだろうなという印象を受けました。
日大に危機管理学部があることから、
報道では「危機管理・リスク管理」という言葉が盛んに出てきています。
日大の対応は、常識では考えられないほど酷いものですが、
今回のことは他人事として考えるのではなく、
きちんと自分の日常に置き換えて考える必要があるだろうな、と思っています。
なぜなら、社会生活を営んでいる以上、ことの大小はどうあれ、
いろいろなトラブルに巻き込まれる、また当事者になってしまう可能性は
ゼロではないからです。
それをリスク管理と呼ぶべきなのかどうかはわかりませんが、
日常の小さな人間関係においても、無用なトラブルを避けるという意味で
リスク管理はしておいた方がいいに決まっています。
大学時代に、「企業広報論」という授業を受けたことがあります。
講師は当時プラップジャパンというPR会社の副社長を務められていた
杉田敏先生でした。
杉田先生は、ソニーの出井さんなどのコミュニケーションコンサルタントをされていた方。出井さんには立ち方、話し方からネクタイの選び方まで、すべてコンサルティングしていたそうです(そういえば、日大内田氏のピンク色のネクタイも物議を醸していましたね……)
杉田先生の言葉で、ずっと心に残り続けている言葉が2つあります。
それは
・第一印象が良ければ、それが下がることはほとんどない。でも第一印象が悪ければ、それが上がることもない。
・見た目はとても大事。年を取ると自分がみすぼらしくなるから、良いものを身につけないといけない。
というものです。
2つ目はまあいいとして、1つ目の「第一印象が良ければ、それが下がることはほとんどない。でも第一印象が悪ければ、それが上がることもない」というのは、まさに今回の日大の対応そのものではないかと思います。
起きてしまった事件の内容は変えられないとしても、その後の対応によっては
日大アメフト部は社会に良い印象を与えるチャンスはあったと思います。
でも、すべてが後手後手で自己保身に走っている印象を多くの人にガッツリ与えてしまった今、アメフト部のみならず、大学全体のイメージを上げていくことはもう無理なのではないでしょうか。
(会見の司会者によると「日大のブランドは地に落ちていない!!」そうですが……)
リスク管理についてちゃんと学んだことはありませんが、
関学アメフト部ディレクター・監督の会見、関学選手のお父様の会見、日大選手と代理人弁護士の会見、会場となった記者クラブの対応、それから内田氏・井上氏の会見と司会者の発言、すべてを見てきて思うのは、
リスク管理のベースにあるものって、結局は「人の気持ちに対する想像力をどれだけ働かせられるか」に尽きるのではないかということです。
単純化しすぎかもしれませんが、でも、これがトラブルを避けるため、もしくはトラブル後に良い対応をするために、一番必要なことのような気がしています。
関学サイドの会見、そして日大選手の会見は、様々な立場の人に配慮し、人の気持ちに対する想像力を細かいところまで働かせたことで、世間を味方につけました。
一方、日大内田氏・井上氏、そして広報部のおじさんは内田氏の身だけを守る姿勢を全面に打ち出すことで、最悪の印象を世の中に与えてしまいました。
人は誰しも、自分を良く見せたいという気持ち、自分が正しいという気持ちを
持っています。
もちろん子どもにもそういう気持ちはあります。
トラブルを避けるために、その気持ちをすべて抑え込まなくてはいけない、
とは思いません。
言いたいことは言えばいい。
でもそこにもちょっとしたテクニックがあり、それを理解しているかどうかでその先が大きく変わるということは、子どもが小学校中学年くらいになったら教えてもいいのかな、と思います。
そしてトラブルがあった時にも、「どっちが良い・悪い」で済ませるのではなく、
自分が正しいと思っていることが、必ずしも相手にとっても正しいことだとは限らない、
そんなつもりはなくても、もしかしたら自分の発言や態度が相手にとっては不快なものだったかもしれない、
相手の伝えたいことを、自分が正しく受け取っていないのかもしれない
と、少し角度を変えたところから相手の気持ちに思いを巡らせる時間を持つことが大切なのではないかと思いました。
今回の事件は、今後いろいろなところに影響が及んでいくと思います。
関学選手・日大選手のお父様達の素晴らしい対応がなければ
日大の選手達はもっと最悪な状況に追い込まれていたかもしれません。
世の中には良い人ばかりではないこと、
自分だけでは対処しきれないことに巻き込まれたらどうするのか、
そんなことについても
子ども達と話をしてみたいと思っています。