備蓄は心を救うよ、という話。北海道胆振東部地震を体験して 

まず、今回の北海道胆振東部地震で被害に遭われた皆様に

心からお見舞い申し上げます。
また関西には台風21号の影響で、いまだに大変な生活を送られている方にも

お見舞い申し上げます。

本当に大変な毎日だと思います。
1日も早く日常が戻ってくることを、切に願っております。

さて東京から札幌に移住して1ヶ月弱。

まさか、この地で自分が大きな震災にあうとは思いませんでした。

 

札幌に引っ越してきて驚いたことの一つが、小学校に防災頭巾がないということでした。お友達になったママに「札幌は地震がないから、避難訓練も少ない」という話を聞いたばかりだったのに、まさかこんなに大きな地震がやってくるとは……。

 

 人はいつ災害にあうかわからないな、と改めて痛感しました。

私が住んでいるところは、結局地震発生後から41時間にわたって停電が続きました。

その中で感じたことが「備蓄は心を救う」ということでした。

私は東京で東日本大震災を経験しています。
幸い地震による怪我などはありませんでしたが、

あの時の恐怖と、その後の物不足による焦燥感は、今も忘れることができません。
道行く人が、大量のティッシュペーパーやトイレットペーパーを自転車に積んで
険しい表情で走り去っていくのを、なんだか悲しい気持ちで見つめていました。

その思いを再び味わうことが嫌で、日頃から割と備蓄には気をつけていました。


今回、再び大きな震災を経験し、準備をしておいてよかったなと心から思いました。
停電が丸2日続くのは、若干想定外でしたが、それでも「なんとかなる」と思いながら

過ごすことができました。


余震がある、暗くなると何も見えない、充電が切れるかもしれない、ネットに繋がらない、水と食料が足りなくなるかもしれない。

震災直後は、本当に不安なことしかありません。

この状況で「家にあるもので、なんとかなる」と思えたことは、

自分の中で大きな救いでした。

非常食などは賞味期限がありますし、安くはないので、

たくさん買うのがもったいないな、という気持ちになるかもしれません。

それもとてもよくわかります。

 

でも、実際に使わなかったとしても、

備蓄があることがこれだけ心の支えになってくれるのであれば、

それだけで投資した価値はあるのではないかと思っています。



本当に幸運なことに、今回の地震では家にい続けることができ、

停電中も水は出続けていました。

被災状況によって必要なものは変わると思いますが、

今回の状況で役に立ったものについてまとめてみました。

●あってよかったもの

・廊下の非常灯
マンションにもともと付いていて、ただの人感ライトだと思っていたら非常灯でした。停電と同時に明かりがつく仕組みになっているらしく、揺れている間に明かりがつきました。真っ暗だったら、もっとパニックだったと思うので、本当に助かりました。調べたら普通に電気屋さんに売ってるみたいです。これはオススメ。

・電池式ラジオ
単三電池2本でほぼ2日間つけっぱなしでしたが、電池を入れ替えずにいけました。テレビが全く見られず、スマホの通信状態もとても悪かったので、ラジオが情報源でした。
音があるだけで安心感がありました。無音でスマホもつながらなかったら、もっとしんどかったと思います。ラジオって素晴らしい。

・モバイルバッテリー
あればあるほど安心です。途中でスマホが完全に圏外になったので、もう別に充電切れてもいいや、というやけっぱちな気持ちになっていましたが、モバイルバッテリーはあって損はないです。
我が家には超デカいモバイルバッテリーがありましたが、なんとそのバッテリーにちゃんと充電していなかったという…。それでも小さいものを多めに持っていたので、助かりました。

 

・懐中電灯(ランタン型)
一人に1個あると安心です。机に置けるランタン型が便利です。

 

・電池
これもあればあるほど安心です。日頃のこまめな買い足しが大事な気がします。

 

・カセットコンロ&ご飯が炊ける鍋
ガスが3本しかなく心配でしたが、2日で1本使い切る感じでした。買い足したいけど、今はもう近くには売ってないかな…。落ち着いたら買い足しておこうと思います。

我が家には炊飯用の土鍋があり、時々土鍋でご飯を炊いていました。何も見なくても炊けるようになっていたので、ご飯は美味しく食べられました。炊き方を調べたくてもネットに繋がらないので、練習しておくか事前にメモしておくといいと思います。

 

・折りたたみの給水タンク
我が家には20ℓのものが2つありました。結局断水しませんでしたが、断水するかもという話があったので初めて出動させました。あるとないとでは、安心感が違ったと思います。給水所も給水袋がすぐ在庫切れになっていたようです。

 

●なくて残念だったもの

・クーラーボックス&保冷剤
クーラーボックスは地下の倉庫にしまいこんでいて、取りに行けず、使えませんでした。保冷剤も引越しの時にほぼ全部処分してしまって大きいの1つしかなく…。
これがあれば、冷凍庫や冷蔵庫のものを無駄にせずに済んだと思います。

蒸し暑かったので、子供達は冷たいものを飲みたがっていました。

 

●使わなかったもの
私はビビりなので、4人家族が3日間過ごせるだけの非常用飲料水と非常食を用意していました。
今回はきれいな水が出続けていて、冷蔵庫のものを調理できたので、非常用の水と食料には手をつけませんでした。
でもこれもあるとなしでは、安心感が全然違ったと思います。

 

 ●その他

・通信について
地震直後の早朝はサクサクつながりましたが、徐々に繋がりにくくなり、地震当日の日中から停電復旧の直前までほとんど使い物になりませんでした。SNSにつながるのもすごく時間がかかりました。
LINEは通知はくるけど、メッセージはダウンロードできず。やっと受信できても送信はできない状態でした。
LINEよりもFacebook Messengerの方が、まだつながりやすかった印象です。
夫の話では、ショートメッセージが一番サクサク繋がったみたいです。

 

今回、東京の友人からたくさん連絡をもらいました。
連絡は本当にありがたかったのですが、受信・返信をすることで

バッテリーがどんんどん消耗されるのが不安でした。
Twitterを見ていたら、LINEのアイコンやステータスメッセージのところに

「無事です。スマホの電池節約中のため、機内モードにしています。

何かあったらこちらから連絡します。」

というメッセージをつけるといい、というアイデアがありました。

次はそうしようかと思います。

ちなみに電話は着信しますが、通話できませんでした。
息子のキッズ携帯では普通に通話できました。
ガラケー、素晴らしい。

 

・子供達の様子
幸いなことに近くに公園があり、普段と同じように外遊びができたので、

子ども達はリラックスして過ごせたと思います。
それでも後半はイライラしていました。
外遊びができない状況だったら、子供達の過ごし方にも

もっと気を遣わなくてはいけなかったと思います。
子供がイライラすると親もイライラするので、次に何かあった時に備えて、室内で心穏やかに過ごす方法をちょっと考えておいたほうがいいかなと思っています。

 

 

 まだ札幌は日常には戻っていません。
お店に物はなく、ガソリンも不足しているようです。

そして道内にはもっと大変な状況にある方が

たくさんいらっしゃいます。

被災された多くの方に思いを馳せ、一日も早い復興を祈り

節電に気をつけて、慎ましく生活したいと思います。

そして、是非家に防災グッズを用意されていない方、備蓄のない方には、

準備をすることを、心からお薦めしたいです。

 

  ※追記 ①※
道内に住む知人の話によると、やはり今回備蓄の少ない方は、心細かったようです。
必要なものを手に入れるべく店に並ぶ→長時間拘束→品薄で思ったものが買えない→すぐ底をつく→買い物にいかざるを得ないの悪循環に陥ってしまったようです。
確かに震災直後は、お店はどこも長蛇の列。

何時間も並んで、欲しいものが手に入らなかったら本当にきついと思います。

追記 ②※
スイッチで流す、タンクレス、などの最新型トイレのお家は、

停電だとトイレの水が流せなかったと言っていました(断水していなくても)。
おそらく停電時の対応方法はあるとは思うのですが、知らないと大変です。
確認しておくと良いかもしれません。

追記 ③※
震災直後の連絡について。

もし遠くにいる友人が震災にあったら、とても心配だと思います。
すぐに連絡を取りたいと思います。
今回いろんな方が連絡をくれてとても嬉しかったし、ありがたかったのですが、

一方で停電や通信の問題があると、正直、対応が難しいところもあります。

「連絡をしない」という配慮も嬉しいものです。
昨日、東京の友人が「震災直後は本当に必要な人と連絡を取るべきだと思ったので

連絡を控えました。でも心配していたよ」というメッセージをくれました。
停電復旧のニュースの後、また災害から数日経った頃に連絡をくれる気遣いが

とてもありがたかったです。