大坂選手の " I'm sorry "が、「ごめんなさい」だったことの悲しさよ……。

震災後、電気が復旧してテレビがようやく見られるようになった翌朝に

U.Sオープン女子シングルスの決勝がありました。


U.Sオープンでアガシがなかなか優勝できなかったあの時代を思い出すと、
(すみません。ただのアガシ好きです)

男子と女子のベスト4に日本人選手が入っていて、

しかもグランドスラムを取るなんて、信じられない気持ちです。

大坂選手の素晴らしいプレーに元気をもらいました。
停電中じゃなくてよかったよ、ほんとに。

さてさて、英語のニュースメディアを読んでいると

試合中のセリーナへの警告問題は、色々なところに議論が及んでいます。

私が一番ぎょっとしたのは、この漫画に関するニュースです。

オーストラリアの新聞に掲載されたこの一枚の絵が

大変に人種差別的だとして、SNSで大炎上していました。

www.japantimes.co.jp

炎上理由の一つは、セリーナの描き方。確かにひどい。

そしてもう一つの理由は、上のプレビューだとちょっと見えていないのですが

対戦相手(大坂選手と思われる)が、金髪の白人女性として描かれていることです。

 

英語で”whitewash"という表現があるのですが、

「白人化する」とか「白人に媚びる」といった意味で使われます。

白人ではない大坂選手を白人として表現することで、

セリーナとの対比がより際立ち、間違いなく人種差別的な表現に

なっていると感じました。

白人の選手は審判の言うことを聞いていて、

黒人の選手はヒステリックに怒り狂っているという印象を与えるイラスト。
大坂選手に対しても失礼ですし、ものすごい悪意を感じます。

 

もともとこの漫画家は、人種差別的な表現が多い人みたいです。

描いた本人は、漫画だから多少デフォルメすることもあるし、

大坂選手のことは実際に映像で見た通りに描いたし!と言って、

釈明することも漫画を取り下げることもしませんでした。

(あまりに炎上したせいか、Twitterアカウントは閉鎖したようです)

 

いや、マジでこんな漫画描く必要ないでしょ。

完全に炎上商法。

いろんなことする人がいるものです……。

 

警告を受けた後のセリーナの怒りが、

負けそうになっている焦りからくるものだったのか

不利な待遇を受けているすべての女性選手を代表してのものだったのか

はよくわかりません。

少なからず、セリーナは女子選手と男子選手の扱いが異なることに怒りを感じていると思います。

全仏ではセリーナが着用していたキャットスーツのようなウェアが禁止されました。

セリーナとは別の選手ですが、コート内でポロシャツを着替えた女子選手が警告を受けました。男子選手はコート上で着替えても警告を受けることはないのに……。

 

しかし私は、セリーナの怒りよりもその後の議論よりも何より、

表彰式がブーイングの嵐になった瞬間に、

サンバイザーを目元まで下げて泣いてしまった大坂選手の気持ちが

ずっとずっと気になっていました。

小さい頃からの憧れの選手と対戦し、初めてグランドスラムを制覇したのに、

「みんなセリーナを応援してたのに、こんな風に終わってしまって申し訳ない気持ちです。試合を見てくれてありがとう」

という優勝スピーチ。

彼女は、一体どんな気持ちであの場に立っていたんだろうと、

そればかりが気がかりでした。

表彰式で大坂選手が言った"I'm sorry"という言葉が

「ごめんなさい」だったのか

「残念に思います」だったのか

どう訳すべきだったのかというのも、日本のTwitterでは話題になっていました。

 

彼女の" I'm sorry "がどちらだったのか…。

下のインタビューでは、大坂選手自身がはっきりと

「謝らなければいけないと思った」と話しています。

 

nypost.com
あの"I'm sorry"は「ごめんなさい」だったんですね。
余計に悲しいわ……。


せめてセリーナが「ブーイングをやめて、ナオミを称えましょう」と言ってくれて

よかった。

(ことの発端はセリーナ本人の暴言だったということはちょっと置いておいても)

 

間違いなくこの試合で起きたことは、前代未聞の出来事。

コーチングの問題とか、審判の判定の不明瞭さとか(男子女子によって違うっていうか、審判によってマチマチだからこんなことになるんですよね…)

そういうことが全部解消されて、

優勝選手が表彰式で心からの喜びを表現できる環境を作って欲しいなと思います。

次の大会では大坂選手のCuteな優勝スピーチが聞けることを祈って。